配偶者の不倫を疑った場合、不貞行為の証拠を確保する必要があります。不貞行為とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいうため、親密なメッセージや二人きりで会っていたというだけでは足りません。
また、不倫慰謝料を請求するには、不倫相手を特定しなければなりません。弁護士会照会を利用すれば、電話番号などから氏名や住所を割り出せる可能性もありますが、個人情報を理由に回答を拒否されることも少なくありません。 弁護士は法律の専門家であり、尾行などの調査はお受けできませんので、あらかじめご了承ください。
不倫慰謝料を請求したい方の法律相談では、手持ちの証拠を拝見し、不貞行為を証明することができるかを検討していきます。これに対し、不倫慰謝料を請求された方の法律相談では、事実関係をおうかがいし、今後の対応を検討していきます。ただし、弁護士は真実義務を負っているため、不貞行為の事実があるにもかかわらず、これを否定することはできません。
相談の結果、不貞行為を証明しうると判断した場合、請求額を決定して受任通知を送付します。不倫相手が不貞行為を認めたら、事実関係を確認し、支払金額、支払方法、接触禁止、口外禁止などの条件を定め、合意書を取り交わして示談します。また、配偶者との再構築を予定している場合、不倫相手に求償権を放棄してもらい、紛争の一回的解決をはかることもあります。
不倫相手との交渉が決裂したら、弁護士費用を加算して訴訟を提起します。提訴から1ヶ月ほどで初回期日が指定され、その後も月に1回ほどのペースで進行していきます。また、不倫相手から配偶者に対して訴訟告知が行われることもあります。
裁判所に提出する書面のうち、当事者の主張を記載したものを準備書面といいます。2回目以降の期日では、交互に準備書面を提出し、争点を整理していきます。訴訟が終盤に差し掛かると、陳述書を提出し、必要に応じて証人尋問や本人尋問を行います。訴訟の多くは和解で終結しますが、判決まで1年以上かかることもあります。
Q1.慰謝料の相場はどれくらいですか?
A1.判例では、50万円~300万円ほどとされています。具体的な金額は、離婚や子供の有無、婚姻期間や不倫期間などによって増減します。
Q2.法律婚でなければ慰謝料は認められませんか?
A2.不倫慰謝料が認められるのは、婚姻共同生活の平和の維持が侵害されるためです。事実婚も法律婚に準ずる関係として保護されるため慰謝料を請求することができます。
Q3.既婚者と知らなければ慰謝料は認められませんか?
A3.不倫相手に故意がない場合でも、既婚者と知らなかったことについて過失があれば慰謝料を請求することができます。
Q4.求償権とは何ですか?
A4.求償権とは、不倫相手が支払った慰謝料の一部を配偶者に対して請求する権利のことです(民法442条)。不貞行為は不倫相手と配偶者の共同不法行為であるため、慰謝料も不倫相手と配偶者の二人で負担する必要があります(民法719条)。
Q5.探偵費用を請求することはできますか?
A5.自力での調査が不可能な場合を除き、探偵費用を請求することはできません。
Q6.弁護士費用を請求することはできますか?
A6.訴訟を提起する場合、慰謝料の10%を弁護士費用として請求することができます。