労災によって負傷した場合、治療費の全額が補償されます。労災指定病院であれば治療費は直接支払われますが、それ以外であれば治療費を立て替える必要があります。また、通院交通費や付添看護費も必要に応じて補償されます。
労災によって休業した場合、休業損害の80%が補償されます(休業補償給付60%、休業特別支給金20%)。加害者や勤務先に対して損害賠償を請求する場合、休業補償給付は控除の対象となりますが、休業特別支給金は損益相殺されません。
労災によって後遺障害が残存した場合、7級以上であれば年金、8級以下であれば一時金が給付されます。ただし、加害者や勤務先に対して損害賠償を請求する場合、逸失利益だけでなく、休業損害からも控除の対象となります。
労災給付では補償されない慰謝料などは、加害者に対して不法行為責任を追及する必要があります(民法709条)。また、労災に事業執行性が認められる場合、加害者の勤務先に対して使用者責任を追及することができます(民法715条)。
使用者は、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする義務を負っています(労契法5条)。安全配慮義務に反して労災が発生した場合、勤務先に対して債務不履行責任を追及することができます(民法415条)。