高次脳機能障害とは、脳の器質的損傷による認知障害をいいます。高次脳機能障害の申請には、後遺障害診断書だけでなく、頭部外傷後の意識障害についての所見、神経系統の障害に関する医学的意見、日常生活状況報告などを提出する必要があります。
高次脳機能障害により、食事、入浴、排泄などの日常生活動作に常時の介護を必要とする場合は1級、随時の介護を必要とする場合は2級が認定されます。これに対し、日常生活能力には問題がないものの、労働能力に制限がある場合は、その程度に応じて、3級、5級、7級、9級が認定されます。
高次脳機能障害が認定されるには、JCSがⅢ桁~Ⅱ桁、GCSが12点以下となる重度の意識障害であれば6時間以上、JCSがⅠ桁、GCSが13点~14点となる軽度の意識障害であれば1週間以上続いている必要があります。
高次脳機能障害が認定されるには、頭部外傷、脳挫傷、びまん性軸索損傷などと診断される必要があります。これに対し、脳振盪は一過性の意識障害にすぎず、脳の器質的損傷もないため、高次脳機能障害は認定されません。
高次脳機能障害が認定されるには、事故から3ヶ月以内に脳室拡大や脳萎縮の画像所見が必要となります。びまん性軸索損傷は、事故直後のCTでは異常を認めることができないため、MRIによって点状出血を確認するとともに、経時的な脳の変化を記録していくことが重要です。
1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
2号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
10号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの